経年変化を楽しむことができる内装とは

2020.01.24 UPDATE 経年変化を楽しむことができる内装とは

新築したとの家はキレイけれど、年数が経った家はどうなるのか想像つかない人がほとんどだと思います。家づくりをするときの内装材は、選ぶものによって家の経年変化の印象を決定づける大切なポイントです。

古さが味わいになるか、古さが汚さになってしまうかは、ホントに紙一重です。家はうまく住み継げば人間の一生よりも長持ちするものです。せっかくなら、古さが味わいになって経年変化が楽しめる内装を選びませんか?

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■無垢フローリング

無垢フローリングは、1枚板のフローリングのことです。白木のままで貼るよりは自然系のクリア(色がついていない)ワックスを塗ってツヤを出すことが多いです。1枚板なので調湿効果があり、梅雨から夏にかけては湿気を吸って膨らみ、冬は乾燥して縮みます。そのため冬はフローリングとフローリングの間に少し隙間ができます。

これに対して合板フローリングというものがあります。合板フローリングは、ベニヤ板を重ね合わせて接着させたフローリング素材のこと。表面だけ木目の模様がついている薄い木が貼られています。合板フローリングは表面に傷がつきづらいようにワックスコーティングされています。

今まで、傷がつきづらい、安い、隙間ができない、ということで各所で合板フローリングが使われてきたのですが、私は断然無垢フローリングがおすすめ。なんと言っても、肌触りがいいです。夏に裸足になりたくなります。木の種類が沢山あるので、自分の好みの肌触りの気を選ぶことが可能です。床暖房対応の無垢フローリングもあります(ただし、杉などの柔らかい木は基本的に床暖房には使えません)。私の家はコストの関係もあって、杉の無垢フローリング。柔らかいのでキズがつきやすいのですが、柔らかいので温かみを感じるフローリングです。冬でも冷やっこく感じません。キズは我が家の歴史と思うようにしています(笑)。
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■造作建具

建具とは、扉や障子・襖(ふすま)などの総称。これから、書こうとしているのは、家の中の建具。室内ドアや、戸棚の扉、押入の扉の話です。建具は元々、建具屋さんが、寸法を測ってオーダーメイドで作るものでした。私、この業界に入る前、扉なんかも含めて全部、大工さんが作ると思ってました。(意外と色々な業者さんの力で家って出来上がるんですよ。)

この造作建具に対して「既製品建具」と言うものがあります。今はこちらの方が主流で、一般的に室内ドアと言えばこちらのイメージの人が多いです。既製品建具はオーダーメイドでは無く、予め寸法やデザインが決まっている建具のこと。メーカーでの大量生産なので安いのが魅力的。既製品建具も色々と種類がありますが、主流の商品は木目がついたフィルムを貼ったもの。これは新築のときはキレイに見えるのですが、年月が経つとフィルムが剥がれたり、ハゲたりするので、だんだんと汚くなるんです。
造作建具は、写真のように一番安いシナベニアのものでも、表面が木なので年月が経っても、それなりの色に変化していくので、オススメです。

弊社で新築・リノベーション設計するときは、無垢フローリングと造作建具は標準仕様にしています。
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■壁のペンキ仕上げ

弊社で施工するときでもコストの関係で壁紙を貼ることが多いのですが、経年変化を感じにくいのはペンキ仕上げです。ただし、弊社の標準仕様だとコストとの関係もあって、ボードの上に直接ペンキを塗るため、ボードとのジョイント部分に必ずヒビが入ります。それも新築後1年間でかなり入ります。これがお好みで無い方には、あまりオススメしません。


ヒビが入ってもペンキをオススメする理由は、壁紙だと年月が経つとノリの接着力が弱くなって、めくれてどうしてもめくれてきます。年月が経つとシミになったりして、壁紙の張替えがどうしても必要になってきます。


それに対してペンキは、ヒビが入るものの全体的に経年変化していくので、あまり古さを感じません。上の写真は、我が家の洗面と寝室の色ペンキを塗った壁ですが、11年経っても意外と綺麗です。でも、キッチン付近の白壁は汚れてますけどね。いざとなれば自分で塗りなおしてもいいかな、と思っています。
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白い部分はクロスを貼って、アクセント部分はペンキを塗った例です。クロスとペンキの組み合わせもアリです。質感が違うので、楽しいですね。


新築やリノベーション工事をするとき、つい設備(キッチン・風呂・トイレ)などを豪華にしがちですが、こういう床のフローリング、造作建具、壁のペンキにお金をかけることで、住めば住むほど味わいのある家になっていきます。ぜひ目を向けてくださいね。

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