路面電車と公共交通を考えてみる

2019.11.21 UPDATE 路面電車と公共交通を考えてみる

鉄道が好きな私は、路面電車と公共交通を考えることが、もはやライフワークのようなものになっています。だからと言って、仕事と大して関係が無いので、ここに路面電車が走っていたらなぁ、と空想する程度でした。でも、せっかくWebページという媒体があるので、自分の考えていることを発信する機会があってもいいだろう、と思い、少しずつ書いてみようと思います。

岡山の路面電車(岡山電気軌道)は、とても便利な乗り物。東山線は5分に1本やってくるので時刻表いらず。地下鉄や高架鉄道のように階段も必要なく道路からすぐに乗れるし、バスほど渋滞もしないし、ダイヤが乱れていつまでも電車が来ない、というイライラもありません。路面電車はとても便利な乗り物なのですが、日本では進化が止まっているので、レールの上しか走ることができないバスのようなもの、と見られてしまう傾向があります。

一方、ヨーロッパでは30年前から路面電車が進化したLRT(エルアールティ:Light Rail Transitの略)が普及し、かつて路面電車が廃止された街に再びLRTが開通する事例もあります。LRTは、ヨーロッパのみならず、アメリカにも普及し、今では中国をはじめとするアジア圏、北アフリカにも広がっています。しかしながら日本でのLRTの本格導入は21世紀になっても富山市のみ、最近宇都宮市で新設が着工された程度に留まっています。

路面電車は、道路の上を走る電車ですが、その路面電車が進化したLRTとはいったい何でしょうか?

日本でヨーロッパのLRTがよく紹介された1990年代後半、ストラスブール(仏)のLRTをはじめとする超低床電車の映像が出て、ステップが無いバリアフリーな車両として取り上げられました。岡山も含めて今では全国の各都市の路面電車で、導入されています。日本では、LRT=床の低い路面電車と社会では間違って認知されてしまったため、このような結果となりました。

本来のLRTは、路面電車の欠点である、「バスとあまり変わらない輸送力」「信号や渋滞で速度が遅い」点を解決するために「長編成の電車で輸送力アップ」「電車優先信号の積極的設置や専用軌道化をして速度の向上」をしたものを言います。決して床の低い路面電車がLRTという訳ではありません。


そして、クルマ社会化による都市中心部の衰退、永遠に解決しない道路渋滞、地球温暖化の原因になるCO2の削減のため、マイカーから公共交通へのシフトを図る都市インフラとしての機能も、LRTに期待されて整備が進んでいます。


日本でも、地下鉄だと過剰、バスだと不足する公共交通の整備は、長年頭を悩ませてきました。モノレールや新交通システム、リニアモーター式ミニ地下鉄など沢山の種類の交通機関を作ってきましたが、どれも建設費や維持費が高い、急な需要増に耐えられない、利用者が利用するとき、階段やエレベータを使うなどの上下移動が必要になる、という欠点があります。私にはLRTを整備した方が理にかなっていると思うのですが、日本では何故か導入が進まないまま、私がLRTを知ってから20年が経ってしまいました。

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